2010年09月09日(木)07:43
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インセプション ★★
夢を操作したいという願望に挑んだ映画, 2010/9/9 By pfd00343
レビュー対象商品: インセプション (レオナルド・ディカプリオ主演) [DVD] (DVD) 夢の世界は誰もが経験しているが、客観的対象ではありえないので「ああだった」「こうだった」「怖かった」などといった主観的印象でしか語れない。その世界を映像化して示せば少しは「伝わる」かと、たくさんの映画が夢を扱っているが、どれも結果的に「それもひとつの現実」になってしまっていて、夢の世界ではない。夢を描いた映画、夢の世界を利用した映画の枠を逃れることはできない。
この作品も同じことで、夢をまともに描くことは鼻からあきらめていて、それを前提として強引な世界観でアクションサスペンス映画を作り上げた形になっている。だから、そこに描かれている夢の世界はフェリーニなんかの世界とは全く異質のもの。あくまでもハリウッドの最近の傾向を反映したCGこてこてSFXこてこての作品となっている。
「そもそも夢を操作することなんてできるわけないし」と思っている人は見ない方がいいだろう。腹がたってくるだろうから。「夢に階層があるわけないじゃない」と思っている人にも勧められない。要するに心理学の知識が邪魔をして、この非科学性に耐えられなくなる人には向かない映画だ。まあSFなんてのはアラを探しゃあどこかに何か見つかるものだから、アラ探しを楽しみにしてる人、そういうケチをつけるのが楽しみな人にはお勧めだ。しかし、そういう人にもアラだらけで逆につまらない可能性もある。
監督の小細工を見つけてその意図がどうだったのかを云々するのが趣味な人、これ結構いるみたいなんだけど、こうした忠実な観客にとっては楽しい映画だろう。そして何回も映画館で見たあげく、DVDかBDまで買ってしまうことになるだろう。まあ宣伝のやり方も、そういう見方を示唆しているようで、素直な人には向いているといえる。
さて、僕の印象は、というと、まず音がやたらにうるさかった。映画館の楽しみは家庭でのDVDやBDの鑑賞とちがって音がでかい点にあるんだけど、それにしてもまあやかましい映画だった。映像的にも折れ曲がる都市の光景とか、CGは面白くできていた。特に折れ曲がりの角のあたりの仕組み、ふむふむという感じで面白かった。そして肝心のシナリオ。さて、これについては何ともいえません。正直言って、もういい加減にしてくれよ、と途中退席したくなった時があることは告白しておこう。 | | |