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2010年05月29日(土)22:55 
Mats EK's Giselle ★★★★

ジャケットが斬新なので新解釈の現代物であることは予想がついたが、やはり見てびっくりした。こういう解釈もあるし、こういうジゼルの踊り方もあるんだ、と。

まず筋的には、舞台は農村でジゼルがそこの村娘という点は変わりない。しかしアルブレヒトとの出会いが性的な関係を含んでいて赤ん坊までできてしまった、という解釈は、むしろその方が納得がいく。古典バレーの演出での、出会ってから踊りあっているくらいの関係でジゼルが死ぬほどの苦しみを味わうというのはおかしいからだ。そしてジゼルは自殺しない。その代わりに発狂する。このあたりもリアルな解釈だ。第二幕は精神病院になっている。そしてミルタはそこの看護婦長。患者達をコントロールする立場。亡霊となった女達をコントロールする代わりに病院の婦長をもってくるというのも、なかなか了解性の高いあてはめだ。患者達は薬を飲まされ、それでもいろいろな苦しみに悶え踊る。ヒラリオンも見舞いに行くが相手にされず、アルブレヒトが行くとジゼルは燃え上がる。しかし最後は婦長にうながされて病室に戻ってゆく。残されたアルブレヒトは全裸(苦悩をあらわすため全裸になった、ということなのだろうが、男の丸裸はいらないな)のまま村に戻り、ヒラリオンから布をかけられてうなだれる。そんな解釈になっている。このあたり、なかなか面白い。ただ、既にジゼルの筋書きなどを知っていないと辛いだろう。それをオーバーラップさせながら見ると面白い、そんな感じだ。

さて、凄いのは踊りだ。スウェーデンの振り付け師であるMats Ekの振り付けは凄い。ダンサー達も凄いが、ともかく振り付けがいい。現代舞踏の踊り方。体の筋肉を使いまくり、俊敏性を要求し、柔軟性をも要求する。このあたりは実際にこのDVDを見なければ感じられないだろう。言葉ではいいつくせない。特にジゼル役のAna Laguna。この人は顔もだめだし体格もだめ。脚も短いし、筋肉質でごつごつしている。もうバレリーナとしては最悪なんだけど、見ているうちに、そんなことが気にならなくなる。それくらい凄い踊りをする。彼女だけがトーシューズを履いておらず裸足で踊っていたが、それは筋肉の動きを見せるためなのかもしれない。

これは必見といえる。★ひとつ少ないのはAna Lagunaが美女でないから。やはり残念だけど、ジゼルは美しくあって欲しかった・・

2010年05月29日(土)09:42 
Alabama ★

なんで買ったのか(^_^;)

かいじゅうたちのいるところ ★

Spike LeeとSpike Jonesは別人だ。もちろん。でも尖ってて変わってるという点では共通してる。

それはともかく、この作品。Maurice Sendakの原作とは根本的に違っている。もしSendakがこの映画を高く評価しているとしたら、彼自身、自分の絵本の魅力を理解していない、ということだ。絵本からの期待をもってこの映画を見た僕は、そしてこの作品や「Avatar」や「Alice」が出たのをきっかけにBDプレーヤを買った僕は、率直にがっかりした。

基本的に絵本というメディアと映画というメディアの性格の違いがある。絵本はページの中やページの間を想像力で埋めてゆくもの。かたや映画は映像と音に描き混まれた世界に没入するもの。「つみきのいえ」のようにアニメーションによって想像力を刺激する優れた作品もあるが、基本的には監督の作った世界に没入して楽しみ、同時にその世界に対峙して考えるようなものが大半だ。もちろん絵本についても、それなりの没入感を抱いたりや対峙の姿勢を持つことは可能だが、基本的に与えられる刺激量が少ないため、想像力が作用する余地が映画に比較して大きい。これは、投影法という心理検査が、想像力によって自己の世界を投影させることにより、自己を語らせる仕組みを取っていることと共通している。

原作との大きな違いは、この映画の持つリアリティにある。なぜ実写にしたのか、なぜアニメーションを使わなかったのか、なぜ書き割りやセットにせず実景を用いたのか。そのあたりでの違和感が最初から大きかった。Maxの家庭の姿が実写で始まったところから「あ、これは実写だったんだ。しまった」という感想を持った。「しまった」だったのだ。実写ということを知っていれば買わなかったかもしれないからだ。

先に書いたように映画だって想像力を引き出すような形で制作することが可能だ。しかしSpike Jonesはそうしなかった。「どうしてそうなるの」と思わせるところは多いものの、すべてを描写して説明しようとしている。家出をして森を走り抜けると水辺にヨットがあって、それに乗って大海を越えてどこかの島に漂着する。そもそもこの時点で、ちゃんと家に戻れるの、といいたくなる。でも最後はなぜか巧みに、あるいは幸運にも船出した場所にたどり着いて、ちゃんと家に戻っている。その不思議さを「夢」という形で処理しなかったあたり、Spike Jonesの「強引さ」を感じた。

怪獣たちがでてくる。リアルではあるものの、着ぐるみとしてのリアルさだ。これをどう受け取ればいいのかについてまず困惑する。着ぐるみレベルのリアリティであるために、「Avator」のNaviの世界のような没入感が得られない。生物としてのリアリティが感じられないからだ。こいつら、どうやって繁殖したのか。この皮膚や毛皮のもっている着ぐるみ感は、彼らのリアルな皮膚や毛皮なのか。何食べて、どうやって雲子してるのか。などなどの疑問が湧く。しかも英語がペラペラで、アメリカ人的な名前で呼び合っている。なにこれ。もうその印象が強すぎたために、全く映画の世界に入れない。

戦争ごっこも見ていられない。あんなリアルな戦争をして、「たまたま」なんだろうけど、Maxには土(石っぽかったけど)が当たらなかったからいいものの、あれが当たってたらMaxは死んでただろう。山羊のような奴は腕をもがれてしまうし。楽しくもなければ、教訓的と割り切るにもシリアスすぎる。

ともかく子供向け映画ではない。大人にとっても面白いかといわれれば、僕的にはつまらなかった。

2010年05月28日(金)14:27 
Bandslam ★★★
Vanessa Hudgensが見たくて買ったけれど、彼女の歌は一曲だけでその点はso so。ただ全体として楽しい雰囲気になっていて、見ていて悪い印象ではない。

2010年05月27日(木)13:36 
Merlin ★★★
MerlinやKing Arthurの伝説についてお勉強をするにはいいけれど、映画としての出来は良くない。

2010年05月27日(木)09:42 
安室奈美恵 Best Fiction Tour 2008-2009 ★★★
2008-2009のツアーの映像で、エンディングクレジットには台湾の台北での録画となっていた。要するに安室の最新映像ということになる。

安室については、昨年あちこちに貼られていたCoca Colaのポスターが実に色っぽくて、剥がして持ち帰りたい衝動にかられた程だった。あの可愛い安室がこんなにいい女になっていたのか、という訳。それで最新の映像をみたくて、できれば高画質で見たくて、それでこのBDを購入した。

結果、安室については最高だった。少しだけ二の腕や太ももや顔がふっくらしたかな、とは思ったけど、それでもスタイルは抜群。そして踊りの勘の良さ、体の動き、可愛らしく、かつ美しくなった顔、さらにあの声。後ろのダンサー達は踊りしかやらないんだったら、安室より上手く踊ってみろよ、といいたくなる程の体の動き。実にこれは天賦のものであり、彼女の努力の結果でもあるのだろう。微妙な腰や腕の角度など、ほんとうに良く決まっている。そうした安室を2時間にわたって見ることができたのは最高の体験だったといえる。

それに引き替え、彼女はスタッフに恵まれていないんだなあ、という思いも強かった。要するに「売り」のコンセプトが適切なところに設定されていない。プロデューサーが力不足なんだと思う。安室をどのような形で売り込むか、特にこれから成熟した女として売り込むためのコンセプトができていない。こんないい素材でありながら、実にもったいないことだ、と思った。

まず舞台。安キャバレーのような電飾、背後の巨大ディスプレイに映るのはハートや稲妻やお星様、それに何十年か前の雰囲気のCGという、実に実に貧弱な代物。そこにはイマジネーションのかけらも感じられない。次にダンサー。盛り場でティッシュ配っているようなお兄ちゃんたちと、女子プロを少し細くしたようなけばいお姉ちゃんたちが、安室の周りでごちゃごちゃ踊る。振り付けもさることながら、ダンサーの選定もだめ。たとえばMylene Farmerの舞台(DVD)にでてくるスペインのダンサー達の格好良さを少しは研究したまえ、といいたくなる。折角安室を見たいというのに、彼らがノイズになってしまっている。衣装もいま一つ。安室の体の線をもう少し強調してもいいのではないかと思われた。メイクだけは良かった。女になった安室を巧みに表現している。

そんなわけで安室を楽しむことはできたが、「ノイズ」の多い作品だった、ということになる。

2010年05月24日(月)21:25 
Alice ★★★★
Lewis CarrollのAlice's Adventure in Wonderlandを元ネタにしているとはいえ、これは完全にJan Svankmajerの世界である。Janさんは、まあ自分の好きなグロテスクなものどもを組合せ、ストップモーションでカタコトと人形やらモノやらを動かしている。想像するに、Janさん(僕との間に距離を感じるので「さん」づけにしている)は、ともかくそうしたアニメーションを作りたかったのだろう。だけど筋なしで作ると退屈なものになるだろうと考えて、アリスの筋書きを借りることにしたのではないか。Lewisの作品の忠実な再現などという考えは、おそらく毛頭無かったことだろう。さきほど「さん」づけにした理由を書いたものの、実はこのグロテスク感は僕自身に実に身近な感覚なのだ。それを嫌悪する気持ちがあって、それでもそこから離れられない気持ちがあって、結局Janさんの作品はDVDで手にはいる限りを見てしまった。これがその意味での最後になる。ただし、値段が安いのでamazon.comの方で英語版を購入した。
さて、トランプや人形の首をはさみでちょん切るなんて残酷さは、ここでは残酷さではなく、モノをいじくる操作のひとつに過ぎない。まあいろんなガラクタが好きな人なんだ。良く集めたものだと思う。きっと大きな家に住んでいた人なのだろう。そうであれば僕だってこれくらい集めていたに違いない。そんな風に、嫌悪すべき親近感を感じさせる作品である。
アリス役のKristýna Kohoutováがいまひとつ可愛くないのが残念。アリスはALice Liddellのような大人を魅惑する美少女でなければならないからだ。
作品的には、アリスの口によって「だれそれが話ました/命令しました/などなど」と登場「人物」の発話を説明しているところが五月蠅い。どうせ夢の中の世界なんだから、意識世界のアリスが登場する必要はない。ただ、最後に目覚めたのが大人の女の人の脇にいるアリスではなく、まだ夢の世界の中であるあたり、僕だったら、ああ、いつになったら戻れるんだろうと嘆息してしまうところだが。ともかくアリスがこんな珍奇な世界に恐怖を感じず、どんどん進んでゆくところ、ひとつのロードムービーになっているともいえるだろう。これは元々のAliceがそうだったといえる。いろいろなモノたちとの出会いを経験し、だけど、だからといってそれを人生の血肉にするなんて教訓は一切なし。そのあたりは元々Aliceのコンセプトを継承しているともいえる。
ところで、併載されている小品のDarkness Light Darknessはなかなか良い。粘土の腕が目玉や耳をつけ、頭をつけ、脚をつけ、チンチンをつけ、そして胴体をつけて、狭い部屋の中で押しつぶされそうな人体になる。その途中で本物らしき脳みそがでてきて、それを粘土の頭のなかに詰め込んだりと、まあグロといえばグロだけど、小気味良いグロテスクだ。この程度の小品がJanには合っているように思う。長編はちとうんざりして眠くなるのだ。

4-Movie Pack / Family Classics
Son of Monte Cristo ★
Captain Kidd ★★
Long John Silver ★
The Scarlet Letter ★
昔の映画でもいいものはあったろうに。画質は悪いし、シナリオもつまらない。それぞれ1940, 1945, 1954, 1934の作品。歴史的資料ということか。

2010年05月23日(日)00:57 
Melo ★★★★
★がひとつ足りないのはSabine Azémaのせい。彼女はミスキャストだと思うのだけど、Alain Resnaisは彼女を起用した作品を多く作っている。とても不思議。彼女の演技は現実離れをしている。そういうところがAlain Resnaisの好みだったのかもしれないが、Pas Sur le Boucheのような軽い作品ならともかく、このMeloのように深刻なはずの物語には不向き。現実離れをしていても、真実味、いや現実味というべきなのか、それを感じさせる女優は他にもいただろうに。
シナリオは良い。とても良くできている。また劇場での演劇風の演出も、したがっての長回しも合っている。とても良い映画なのに、そこが残念だ。

2010年05月22日(土)22:06 
シンドラーのリスト - 昔のGFを思い出した ★★★

不謹慎なタイトルである。しかし10年以上前、「シンドラーのリスト見ました?(丁寧語表現)」って聞かれて、ん、見てない。そもそもそれなんのリストの話、って感じで話はそれで打ち切り。超頭のいい彼女だったから、映画みていてその話が進めばどういう展開になっていたか。想像するとちょっと楽しく、ちょっと後悔の思いが募る。超頭のいい彼女だったから、ユダヤ人殺戮に対する単純な批判や、シンドラーの人道性を評価するような話ではなかった筈。そんなわけで、彼女との仮想対話を想像していた・・。それはともかく、以下に私的な印象を列挙してみることにする。

・シンドラーの行為はユダヤ人に対してというよりは一般的な人間としての素朴な感情によるものだったのか。しかし、どちらだったのかは映画は語っていない。その解釈を観客に投げているともいえるが、スピルバーグの解釈が提示されているべきだ。 ・そうした内面的変化は何をきっかけに、どのようにして生起してきたのか。映画では、その肝心な内面の変化がうまく表現されていない。ただ「見ていた」ことが変化を引き起こしたとはいえないだろう。内面の独白というやり方をとらなかったのは、この映画の場合、表現に制約を加えているように思う。もちろん安直な独白は五月蠅いだけだが。
・他のドイツ人がそうしなかったのに、特に彼だけがそういう行為に走ったのは何故だったのか。ここはとても重要な点なのだが、素朴に彼の行為を賛美するような映画になっており、彼の特異性がうまく描かれていない。
・しかし、あと一人でも、という最後の場面での発言は、無理が分かっているだけに辛いものだったろう、と想像できる。あのナチス席捲の状況で、少しでもああした行動が取れたことに対する評価よりは、できなかったことについての苦しみの方が彼の内面では強かっただろう。そのあたりの選ばれた人と選ばれなかった人の間の絶望的な段差は、実際のシンドラーを苦しめていたと思われるが、映画にはあまり表現されていない。
・どうもスピルバーグの限界のようなのだが、人物の内面描写は苦手のようだ。
・モノクロとカラーの使い分けにしても、実に素朴なやり方。それが圧倒的な感情を喚起するのであればまだしも、モノクロが当時の時代表現に適していると言っても、あの解像度の高いモノクロでは時代的なリアリティはでてこない。
・スピルバーグの自民族に対する感情が制作の背景にあったのは当然だろうが、すべてのものにはポジティブとネガティブの両面がある。しかし彼にネガティブ面を期待するのは無理だろう。
・結局、巧みに物語り化した作品、というように思える。
・当時の写真で見るユダヤ人の表情にくらべて、登場人物たちはあまりに明るすぎる。実際はどうであったのか、見ていたわけではないが、隣人が即座に射殺されるような状況であれば、もっと押し殺した表情になるはずだと思うのだが。その意味では演出はいまひとつだと思う。
・こんな風に書いてきて、どうも日頃のスピルバーグ嫌いがでてしまっていて、それがこの映画に対する印象にバイアスをかけているな、と自分でも思った・・

2010年05月20日(木)12:40 
Avator ★★★ BD
ビジュアルを素朴に楽しむなら可

ここ10年20年の進歩が著しいのはビジュアル表現。CGでは、まだ重量感(現在は音でごまかしているところあり)の表現など、もう少しの進歩を必要とする部分もあるけれど、それなりの進歩が見られる。もちろんグラフィック表現というものは精緻であれば良いという訳ではなく、目的によっては昔のミッキーマウスのように線画で十分な時もある。ただ、この映画のように実際の人間と並置する場合には、肌理や質感、細かい動きと大きな動きの共存、重量感や加速度や粘性などなどにリアルさが求められる。その意味では、特に植物や景観について、この映画での表現はなかなかのもの。動物になるといまひとつ、Naviの表現はもうひとつのもうひとつ。身の軽さを表現したつもりかもしれないが、体重が感じられない。

もうひとつのビジュアル表現の話題は、機器メーカーも仕掛け人となっている3D表現。ただし、これは見ていない。これまでの経験で、両眼視差という手がかりに頼った3D表現は、数秒間ならいざしらず、ちょっと長く見ていると酔っぱらってくることを何回も経験しているからだ。まあ念のため、と思って、次の機会には別の映画で体験してみてもいいとは思ってるが。メーカーなどは、一生懸命売り込みをかけているが、たぶん普及しないだろう。特に眼鏡方式のものについては、その煩わしさが日常生活におけるテレビ視聴などには絶対に向かないと思っている。レンチキュラー方式なら眼鏡はいらないし、最近の液晶技術なら不可能ではないと思うけど、ともかく受像器の方式と放送方式が対応していなければならないし、放送局としても多大な投資を必要とするから、まずテレビとしては普及はしないと思う。DVDならまあ可能性はあるけれど、どんなもんでしょうか・・、というところ。

さて、ビジュアル表現に比較して全く進歩が見られないのはシナリオ技術(音についてもいいたいことはあるけれど、今回は省略)。なんで映画制作者はこの点の不備について反省をしないのか、全く不思議だ。何がいいたいかというと、普通の主人公がでてくる普通の映画なら全然構わないのだけれど、人類物とか民族物とか、大勢の人間が関わってくる物語においては主人公がヒーローになれることなんてない、ということが理解されていない。人類や民族の大きなうねりや衝突のなかに市井の個人が登場するのはもちろんあり。それはそれで映画になりうる。しかし今回のような人類対Naviのような話に特定の人物が主人公になってしまうというのは、そして話しがそこに集約されてしまうのは絶対におかしい。歴史というのはそんなものではなく、各々異なった考えを持つ個人が複数存在し、そのダイナミズムで動いていくもの。その複数は数人のこともあろうが、普通は何十人、何百人オーダーであり、120分程度の映画では全容を描くのは無理だ。そしてHeaven's Gateのように長時間になると観客はブーイングをする。

シナリオ的には、西部劇、と単純化していけなければ、Heaven's GateやDance with Wolvesあたりの民族抗争を描いたものをさらに極大化して人類対Naviなる原住民の争いに置換しているところ、これがどうしようもなく愚かしい。技術の進歩としてMatrixなどにみられた多重世界の共存を可能にするものがあるとして、それと並行して発達したはずである他の技術的側面が全く古色蒼然としている。こんな未来世界はありません。さに人類がすごすごと引き上げる最後のシーン、当然、逆襲が待っている筈。それで続編を作るつもりだろうが、まあ客観的に見れば、Naviは徹底的に殺戮されておしまいになるはずのもの。

そんなわけで、映画としてはせいぜい★★レベル。ビジュアルに救われて★★★というのが僕の採点。

High School Musical - Encore Edition ★★★
一度見てしまっていた。二度目だとあまり面白くない。もちろんGabriellaは可愛いが。

2010年05月18日(火)20:09 
Giselle BBC 2006

One of the top three Giselles, May 18, 2010
By Masaaki Kurosu "Mojarin" (Tokyo, Japan) - See all my reviews

This review is from: Giselle (DVD)
Giselle - Alina Cojocaru is superb for her flexibility, smooth dynamism and body proportion.

Stage Design - Interesting for focusing on the center of stage and the darkness otherwise.
Orchestration - Very good, but it's rather for a concert than for a ballet.
Interpretation of the scenario - A bit unique and explanatory for the ease of understanding.
Dancers - Good but not always excellent because of bit of asynchrony among them.

2010年05月18日(火)18:45 
Bowling for Columbine ★★★
The Big Oneとのボックスセットで買ったもの。
こちらでは、高校生2人による銃乱射事件を主にとりあげて、その背景をえぐる形になっているが、一つの仮説として、同じくらい銃が普及しているのに犯罪の少ないカナダ(自宅の玄関に鍵を掛けない人が多いという嘘のようなエピソードにはびっくりしたが)との対比によって、アメリカ人は恐怖にあおられていて、それで銃器を実際に使用してしまうから(銃犯罪だけでなく)銃による事件が多いのだ、というものがあり、もう一つの仮説として、アメリカでは銃も弾丸も容易に入手できてしまうからなのだ、というものが出されている。
話としては前者の方が面白い。政府や企業によるプロパガンダ(これはアメリカ政府の常套手段であり、そうした政府は企業の利潤追求を擁護している)に乗せられて、アメリカ人は常に「敵」を意識するようになっていて、だから「敵」とみると銃を発射してしまう、というわけだ。これはどちらかというと社会学的な考察であり、深みのある話なのだけど、いかんせん絵になりにくい。せいぜいが、アメリカが他国で引き起こしてきた戦争やテロの背景に、そうしたメンタリティがあるのだ、ということを映像の重ね打ちによってたたみかけることしかできにくい。
かたや、銃も弾丸も、という話、実際にK Martでの弾丸販売の取りやめを訴える行為にでた場面、NRAの会長であるチャールトン・ヘストンを自宅に訪問する場面など、「絵」にしやすい。
たぶん、銃による事件や犯罪がアメリカで多発している背景には両方が関係していると思われるのだが、カナダでの圧倒的銃殺人の少なさが事実とすれば、後者の話は説得力に欠ける。別に銃はもっていても、気持ち的に使わないからいいんだ、ということだ。まあ、「敵」に対する恐怖心や不安感にかられているところに銃や弾丸が自由に買えてしまうという状況が、現在のアメリカの問題だ、とまとめることはできるだろう。
しかし、そのあたりの論理構成が薄弱だ。やはりMichaelはジャーナリスティックな人間なのだろう。途中で彼がインタビューしていたジャーナリストが言っていた「銃声がすればそっちにカメラをもってゆく」(正確には記憶していないが)という発言は、実はMichaelの姿勢をも表しているのだ。

The Big One ★★★
まあ、しかし、自分のコンセプトでこうした編集をしてしまえる点、それなりの才能はある人物といえる。

2010年05月16日(日)11:56 
溝口

「女性の勝利」★★★
小津の「淑女は何を忘れたか」というピントのぼけたタイトルの映画で桑野通子のモダンガールぶりが気に入ってしまって、準主役で出ている彼女の遺作を求めた。遺作というのは、この作品の最後のカットの撮影を前にして、不倫相手との間で妊娠した結果が子宮外妊娠で、出血多量とかで撮影中に倒れ、そのまま死亡してしまったということだ。その生き様もさることながら、演技もなかなかに魅力的。最後の後ろ姿が役者としての最後を象徴しているようでもあった。ただしVHSはものすごい代物。音はがさがさ、絵はノイズ(カビか)だらけ。まあ貴重な作品。

以下は小津

長屋紳士録 ★★★
まあ悪くはないが印象の薄い映画。捨て子だったと思って面倒をみていたら、はぐれただけで、実父に会えて、彼と帰っていく。それをみて情の移ったおばんが子供を欲しくなる。そんな話。

風の中の牝鶏 ★★★★
小津にしてはめずらしく悲惨な映画。まあ最後はハッピーエンドだけど。主人公の女性が子供のために売春をしてしまうという、いわゆる善良なる市民から逸脱し、しかしながら最後に夫との愛を確認するという話。実際に売春までしてしまうというあたりの設定は、いかにも作り話的ではあるけれど、 印象には残る。

戸田家の兄妹 ★★★
財閥だったらしい家族が祖父の死によって離散する。まあ僕のうちにも戦後は似たようなことがあったし、祖母の居場所を巡って姉妹の間をたらいまわしにされてしまうこともあったけど、そんなことを思い出しながら見た。

父ありき ★★★★
ありき、と過去形になっているから最後は死ぬんだろうな、と思っていたが、やはり。ただ、どうにも父子ものには弱い。しかもストレートに描かれれば描かれるほどしんどい。

2010年05月12日(水)11:47 
一人息子 ★★
小津のヒューマニズムとやらがあふれすぎていて気持ちが悪い。

淑女は何を忘れたか ★★★★
これは楽しい。小津のユーモア感覚もいい。モダンガール役の桑野通子が良い。溝口の女性の勝利の撮影最後に子宮外妊娠で急死したという。さっそく購入した。

まほろば ★★
そんなに小津を神聖化することもないじゃないか、という印象。

2010年05月09日(日)14:07 
Ten Minutes Older - The Cello ★★★
Godarのものは割とよかったが、画質を揃えて欲しかった。Claire Denisのも悪くなかった。

2010年05月09日(日)13:15 
12 Monkeys ★★
たしかにLa Jeteeに近いものはあるけれど、映画として退屈。La Jeteeくらい短ければ許せたが。

The Tenant ★★
すぐに筋が読めてしまう。シナリオ力の弱さだろう。Polanskiは演技も下手。

2010年05月05日(水)12:49 
Muriel
DVDで買ったけど画質はVHSと同じなので、とりあえず中断した

Farewell to Arms ★★
退屈なメロドラマ。別にこれで反戦とかはないだろう。
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2010年05月04日(火)11:17 
Giselle - Svetlana Zakharova ★★★★
Svetlanaは顔がいま一つだが、それ以外の点ではすばらしい。

Swan Lake - Svetlana Zakharova ★★★
作品が好きでないし、衣装もいまひとつだけど、良い。

Ten Minutes Older - The Trumpet ★★★
いくつか印象的なものはある。エリセのものは良い。
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2010年05月03日(月)10:41 
Pierre Boulez in Rehearsal ★★
リハーサル光景のみ

人体解剖マニュアル 動き、循環器、消化、生殖 ★★★★
一気にみた。ホルマリン漬けの死体と比較して、死後すぐの死体の美しいこと。小腸の光るふくらみ、空気をいれられる肺。できれば全ての巻を直後の死体でやって欲しかった。
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2010年05月02日(日)13:41 
Muriel - 閉じた不可逆な世界 ★★★★
骨董というものは数が限られていて、しかもそれぞれに物としての記憶を刻まれている。骨董には怨念が入っているかもしれないから嫌いだ、という人もいるが、人間だって同じこと。それぞれに記憶を刻みこんでおり、その中には怨念だってあるかもしれない。もちろん愛の記憶もあるだろうし、後悔もあるだろう。ただし、それを穿り返してみても先には進まない。とはいえ、蘇らさずにはいられない記憶もある。この映画はそうした記憶にとらわれた人々の閉じた世界を描いている。もちろん彼らの過去は遡って変えることはできないものだ。とうとうRobertを射殺したBernardだって、Murielの殺害という悪夢から逃れることはできない。Alphonseを呼び出したHeleneは、何故そんなことをしたのか自分でも分かっていない。呼び出されたAlphonseは過去の想いからHeleneに迫るが、彼の眼中には連れてきた現在の愛人は入っていない。そんな彼に妻のSimoneのことを思い出させる男が乱入してきて、さらに彼は過去に縛られてゆく。Robertに山羊の雌を連れてきてくれと頼む老人は、その点だけにおいて未来に向けて生きているが、この映画では例外的な人物になっている。そして老人であるだけに、その未来は限られたものである。とりわけ戦争という事実は記憶のなかから消しがたい。個人の意志と無関係に人を殺し、殺され、町は破壊されてしまう。Alain Resnaisの作品には、戦争という典型的な不可逆性をもった記憶が良く描かれる。そこが原点となってしまった人々は悲劇に生きることになる。そんな記憶は無くなくしてしまえればいいのに、なぞと望むことはできない。そもそも人間のアイデンティティは記憶に立脚しているのだから。自分が自分であることは記憶を持って生きることだから。その意味で、単なる反戦争というテーマではなく、人間の存在の原点を描いた作品といえる。映画としてみた場合、Resnaisのズタズタなカットの切り方や混ぜ方は僕の好むやり方ではない。ただ、公開当時の人々に、ある種の新鮮さを感じさせる物だったろうとは思う。いや、現代においても、敢えて言うならそうした残酷な編集のやり方は、それなりの斬新さを感じさせ、映画の主題を明示することを助けている。なおHenzeの音楽は悪くはないが、良くもない。僕が見たのはVHSで字幕は英語。しばしば字幕に訳されていないフランス語があったり、意訳が過ぎるところもあったけど、いかんせん映像がぼけていて、改めてDVDを発注することになってしまった・・。
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2010年05月02日(日)00:40 
Manny & Lo ★★★★
Scarlett Johanssonが大人っぽくて可愛らしい。筋はロードムービー。
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2010年05月01日(土)23:09 
東京の宿 ★★★
長すぎるしストーリーが凡庸。
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2010年05月01日(土)20:46  去年マリエンバードで ★★★★★
視点

この作品、昔、映画館でみて、まったく訳がわからず、それでも映像の美しさと音楽がとても気にいって、その後、VHSで、フランス版DVDで、さらにアメリカ版DVDを買ってしまった。別にバージョンによる違いはなく、以前買ったものが見つからないので改めて買ってしまっただけなんだが。今回、数回目に見て感じたのは、カメラの視点ということだった。映画は、直接的には去年の記憶と今年の現実という時間軸を扱っているが、それはカメラの視点がいつの時間のものか、ということでもある。フラッシュバックを使う映画は結構あるけれど、この映画ほど、過去と現在の映像をまぜこぜにしているものは少ない。もちろん意図的にそうしているのだろう。さらに、カメラは誰の目線を表現しているのか、という問題がある。ここがこの映画の難しいところで、誰の視点でもなく、登場人物たちを第三者的な視点から描写しつつ、それが誰かの心象であることを表している。そのあたりを紐解かせているあたり、Alain Resnaisの意地悪いところだろう。もちろん、各カットを分析して、これがいつの誰の視点によるものかを整理するような見方もできるだろうが、映画研究という立場でなければ、その混乱を楽しむというスタンスで良いのだと思う。それにしても、いつも思うのだけど、映画のカメラってのは、いったい誰の視点を表しているんだろう。肝心なところばかり選んで、そこに密着して覗いている姿なきvoyeurなわけだ。そのあたり、Alain Resnaisは皮肉っている、もしくは真面目に問題提起しているのかもしれない。ともかく映像と音楽のマッチングは素晴らしい。
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2010年05月01日(土)20:30 
Le Journal d'une Femme de Chambre ★★★
Bunuelの作品の特徴のひとつは、登場人物が首尾一貫した人間像として描かれず、その断片の集積として描かれているところにあるようだ。だからJeanne Moreauの小間使いの行動も、映画を通して見ると理解しにくいところがある。フェティシズムを含んだ性的な描写が多いけれども、それはこれも入れよう、あれも入れよう的に突っ込まれた感じがして、気の向くままにキャンバスに絵の具を投げ込んだようなものに見える。その組合せ、たとえばラストの稲妻のような意表を突いた組合せの妙を楽しんでいるような気がする。観客としては、べつに当惑する必要はない。ふーん、でいいと思う。

浮草物語 ★★
眠たかった。サイレントだから余計に。
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2010年05月01日(土)07:55 
バッタ君町に行く/スーパーマン ★★★
宝島社の2枚組み980円DVDはたしかに安い。SupermanのThe Magnetic Telescopeは子供の頃に見て、とても怖かったものだった。まだ世界大戦のさなかの制作だけど、古いだけに手描きで丁寧につくられたアニメだ。

The Superman Cartoons of Max and Dave Fleischer ★★★
宝島社のものを含めて18本。抜けていたのは日本が敵になっていてそれをSupermanがやっつけるという類のもの。それはともかくSuperman、最初の頃は星を跳ね返してしまうほどの力持ちだったのに、だんだんと鉄の扉を壊すのに苦労してしまうなど、強さが一貫していない。飛んでいるのもジャンプしているのかフライしているのか分からない。あのスーツは肌身の一部なのかどうか。鉄の男というナレーションがあるが、ほんとうに鉄なのか。疑問多し。

Meet John Doe ★★★
1941年の作品。Cooperの演技が渋くて良い。
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