この映画自体はシナリオがややこしすぎて面白みを削いでいたけれど、事件そのものはかなり衝撃的だった。DVDに入っていた資料映像を見て、それから検索して画像を見た。口裂け女というのはこういう顔になるのだ、ということを知った。猟奇的な事件としてはEd Gainのやらファソン事件やらいろいろと見てきたが、殺し方の猟奇性としてはBlack Dahliaがすごいと思う。その他の事件でも、それをやっている場面を見たら驚いてしまうだろうけれど、特にこれはすごい。神戸の少年殺人事件でも口を裂いていたということだけど、それは写真を見ていない。口が裂けた写真というものがこんなにショッキングなものだとは思わなかった。
たぶん、顔という、人間にとって基本的な認識部位であるところをいじっている、という点がショックの強さに関係しているのだろう。お化けでも幽霊でも怪物でも、基本的には顔を「加工」してあることがそれを証明している。顔が普通でなくなることはそれだけ人間にとっては恐ろしいことなのだろう。手足や性器や胴体に比べると、さらには皮膚や爪などに比べると、顔のもつ重要性は高いから、のことだろう。人間が人間でなくなり、しかるに人間らしさを残している。その微妙さが怖いところなのだろう。
顔をいじるということは、口を裂くだけでなく、目玉をえぐりだす、鼻や耳を削ぐなどいろいろありうるし、またいろいろとやられている。人間の想像する残虐行為は、いちおう有限の範囲内ではあるけれど、その中でも特に口がショッキングなのは何故なのか。考えてしまう。そして怖くなる。自分がそういうことをしでかしてしまうんじゃないか、などと思って怖くなってしまう。いやいや、そんなことあり得ない、とは思いつつ、人間の可能性を限定することはできないといった一般論が頭をよぎる。
旅先だからかもしれない。デパス0.5を飲んだ。旅の疲れのせいかもしれない。昨晩の食卓での話がつまらなくて、それを我慢していたから余計に疲れたのかもしれない。まだ眠い。もう少し寝よう。