仲間もあれば敵もある。政党もあれば流派もあるし宗派もある。どうしても人間は他人と暮らさざるを得ない。賞賛する人もいればけなす人もいる。そして仲間がいて、評価されればうれしくなる。そして他人との関係に色づけをしなければいられない。それが不幸の始まりなのに。

けれど一人では暮らせない。ただの石ころにはなりきれない。

石ころになりたいと思いつつ、それが叶わないことは知っている。他人との関係は、どういう他人との関係かによって意味づけされる。そして、その時、その時代、その場所、その社会状況によって、自分にとっての他人になりうる人々は限定されてしまう。その中から人をピックアップし、あるいは拒絶し、人間関係というものを作っていく。そうせざるを得ない。

孤独死は死体や汚れた部屋の処理をしなければならない人たちがでてくるから迷惑とされる。その人にとってはそれでもいいはずなのに。

ただ、人嫌いの人恋しさというのもあるから人間はやっかいだ。逆に人好きの人嫌いというのもいるけれど。どちらも現在の状況を受け入れられず、自分の望む状況を作ってこなかった責任を自分で負うしかないけれど。