2008-2009のツアーの映像で、エンディングクレジットには台湾の台北での録画となっていた。要するに安室の最新映像ということになる。
安室については、昨年あちこちに貼られていたCoca Colaのポスターが実に色っぽくて、剥がして持ち帰りたい衝動にかられた程だった。あの可愛い安室がこんなにいい女になっていたのか、という訳。それで最新の映像をみたくて、できれば高画質で見たくて、それでこのBDを購入した。
結果、安室については最高だった。少しだけ二の腕や太ももや顔がふっくらしたかな、とは思ったけど、それでもスタイルは抜群。そして踊りの勘の良さ、体の動き、可愛らしく、かつ美しくなった顔、さらにあの声。後ろのダンサー達は踊りしかやらないんだったら、安室より上手く踊ってみろよ、といいたくなる程の体の動き。実にこれは天賦のものであり、彼女の努力の結果でもあるのだろう。微妙な腰や腕の角度など、ほんとうに良く決まっている。そうした安室を2時間にわたって見ることができたのは最高の体験だったといえる。
それに引き替え、彼女はスタッフに恵まれていないんだなあ、という思いも強かった。要するに「売り」のコンセプトが適切なところに設定されていない。プロデューサーが力不足なんだと思う。安室をどのような形で売り込むか、特にこれから成熟した女として売り込むためのコンセプトができていない。こんないい素材でありながら、実にもったいないことだ、と思った。
まず舞台。安キャバレーのような電飾、背後の巨大ディスプレイに映るのはハートや稲妻やお星様、それに何十年か前の雰囲気のCGという、実に実に貧弱な代物。そこにはイマジネーションのかけらも感じられない。次にダンサー。盛り場でティッシュ配っているようなお兄ちゃんたちと、女子プロを少し細くしたようなけばいお姉ちゃんたちが、安室の周りでごちゃごちゃ踊る。振り付けもさることながら、ダンサーの選定もだめ。たとえばMylene Farmerの舞台(DVD)にでてくるスペインのダンサー達の格好良さを少しは研究したまえ、といいたくなる。折角安室を見たいというのに、彼らがノイズになってしまっている。衣装もいま一つ。安室の体の線をもう少し強調してもいいのではないかと思われた。メイクだけは良かった。女になった安室を巧みに表現している。
そんなわけで安室を楽しむことはできたが、「ノイズ」の多い作品だった、ということになる。